とりとめのない雑記

雑記。に遠く及ばない何か。

「バララッシュ」 福島聡 著

 

アニメ制作を通じた青春群像劇で、「映像研には手を出すな!」がポップかつテイストフルなオタクの夢の名作だとしたら、「バララッシュ」はトラディショナルでビタースイートなオタクの夢の名作です。

 

誌面で連載を追ってた方も、最終巻だけでも購入してほしいかな。
奥付の後に、見たかった「その後」のショート漫画があります!

 

1話目で結末を出すフラッシュフォワードの手法で描かれた漫画です。
まず一話目のタイトルからして「大団円」。

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第一話目で結末を知っているだけに、オタクという言葉に少し後ろめたさを持つ世代にとって、心が抉られそうな描写も「そんな時代もあったよね~」と安心して読み進められます。

また凡才山口と天才宇部との関係や、不破監督の一見して険のある物言いや態度にも、第一話ですでにアンサーがでているので、必要以上に深読みすることもなく、さくさくと読み進められます。

 

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帽子といい、愛されてるよね山口。

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もし時系列順に物語のスタートが第二話からの展開だったとしたら、重苦しい作品になっていたと思います。
大団円の未来の結末を第一話に持ってきたことで、爽やかに苦悩する青春群像劇になりえたのでしょう。

 

絶対、山口世代がまだ業界での権限ある今のうちに、アニメ化してほしい傑作です!

 

打ち切り臭もありますが、「バララッシュ」は全3巻(おまけ漫画コミ)できれいにまとまっている傑作だと思います。

 

 

装丁も凝っていて楽しい。
ラフ画っぽい表紙絵に、パートカラーっぽい色彩された帯がついているところとか。
装丁の裏とか。
何よりも奥付の後にある10ページのおまけ漫画とか。